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 1.星と猫

 僕はとまどっていた。いましがた屋根の上の猫が星をもいで僕に投げてよこしてくれたのだ。僕は猫に明日の天気予報を伝えただけなのに。こんな立派なものをもらってどうしよう。オロオロしているうちに猫は行ってしまい、僕は星をかかえてどうしたものか思案していた。

 「気にすることは無いさ。もらっておけばいい。なぁに猫ってやつは星をもいでよこすのが好きなんだ」  振り向くとシルクハットをかぶった男の人が立っていた。

 「はやく食べなさい。あたたまっちゃいますよ。ああそうだ、北極のシロップをかけてあげましょう。」  男の人は鞄から紺色の瓶を取り出すと僕がかかえている星にシロップをかけてくれた。僕はお礼にと星を半分に割って渡した。

 男の人は名前をカオスと言って雲を売るのを商売にしているとのことだった。雷雲は口に含むとピリピリして山猫達がこぞって欲しがり吊るし雲の表面はとても滑らかなので医者が軟膏を作るのに欲しがるのだそうだ。その他にもいろいろ雲の話を教えてもらった。なかでも、石から生まれる雲の話しが面白かった。石を割るとそこからヒュッと雲が飛び出すのだそうだ。僕が熱心に聞いていたのでカオスさんが一枚のチケットをくれた。

 「明日、石の展覧会が開かれます。あなたならきっと楽しいと思いますよ」  チケットは浮石糖でできていた。壊さないようにそっとハンカチに包んで鞄にゆっくりとしまった。お礼を言おうとしたらもうカオスさんの姿はどこにもなかった。

   2.石の展覧会

   昨日、カオスさんにもらったチケットを持っていつもの海岸通りに行った。月の光りが波の音と溶け合って、やわらかい気分だった。と、昨日僕に星をもいでくれた猫がするりと目の前に現れた。

 「あ。昨日はありがとう」

 僕はつっかえながらお礼を言った。

 猫はニャァと鳴くと、こっちだよというように歩きだした。僕はあわててついていった。

 小さなお店みたいなところだった。僕はチケットを取り出した。浮石糖が月の光りに照らされてますますふんわかになっているようだった。店のまわりには僕の他にも展覧会を見にきた人がいて、チケットを取り出すと、入口に座っている犬に食べさせては、中に入っていった。僕も犬にチケットを差し出した。犬は美味しそうにチケットを食べていた。

 店の中には色々な瓶が置いてあって、その中に石が入っていた。そしてその石の前には本が置いてあった。僕は最初の空色の瓶のなかの透き通った石の前に置かれている本を読んでみた。

3.翼の石
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